研究課題/領域番号 |
18591490
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
柴尾 和徳 産業医科大学, 医学部, 助教 (10330987)
|
研究分担者 |
永田 直幹 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80200377)
平田 敬治 産業医科大学, 医学部, 助教 (70269059)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
4,010千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 510千円)
2007年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | IP3レセプター / 大腸癌 / 細胞増殖 / カルシウムシグナリング / アポトーシス |
研究概要 |
イノシトール3リン酸レセプター(IP3R)は、カルシウムシグナリングに関与している。IP3レセプターには1型から3型の3種類が存在しているが、ヒト正常組織、癌組織におけるIP3R発現の検討はいまだなされていない。今回の研究では大腸癌切除例における3型IP3Rの発現を免疫組織学的に評価し、臨床病理学的解析を加え検討した。対象は当科で切除した大腸癌116例(結腸癌58例、直腸癌58例)。非癌部、癌部のパラフィン包埋切片で1、2、3型IP3R抗体を用いて酵素抗体法を施行し、IP3Rの発現パターンを観察した。さらに腫瘍中心部と腫瘍先進部でIP3R発現を染色程度により2群に分け、臨床病理学的因子、累積生存率を検討した。3型IP3Rは大腸の非癌部で発現を認めなかった。癌部では細胞質内にびまん性、顆粒状あるいは管腔側へ環状に発現しており、症例により様々な程度の発現を認めた。3型IP3R発現例は腫瘍中心部で12.9%(15/116例)、腫瘍先進部では28.6%(34/116例)であり、腫瘍先進部でより強く発現していた。臨床病理学的因子との検討では、1型、2型、腫瘍中心部における3型IP3R発現は臨床病理学的因子との関連を認めなかった。しかし、癌先進部における3型IP3R発現は、占拠部位、組織学的分化度、腹膜播種などとは相関しなかったが、深達度(p=0.029)、リンパ節転移(p=0.004)、肝転移(p=0.02)、TNM分類(p=0.015)と統計学的にも有意な相関関係を認めた。3型IP3R強発現群の5年生存率は61.5%であり、弱発現群(82.7%)より有意に予後不良であった(p=0.033)。大腸癌の腫瘍先進部における3型lnsP3R発現は癌の浸潤、転移、予後と関連し、大腸癌における分子標的治療のターゲットとなる可能性が示唆された。なお、本研究の結果は海外有名誌に投稿中である。
|