研究課題
基盤研究(C)
外科手術により治癒が期待される胃癌や大腸癌などの消化器癌も進行度が進むと遠隔転移をきたし治療を困難にしている。肝臓は代謝を司り、肝臓への転移は生命を危険に曝す。そこで肝転移における分子メカニズムを解明することは、転移をコントロールする上で重要であると考えられる。これまでにSCIDのような従来の免疫不全マウスを用いて、尾静脈や脾臓を介しての転移モデルが開発された。しかし、従来の免疫不全マウスを用いた実験では転移性が低く再現性に問題があり、実質臓器における転移巣を観察するには実用的ではなかった。これらのことから、ヒトの転移を反映した再現性の良いモデル動物の開発が必要であると考えられた。そこで新規免疫不全マウスであるNOGマウスを用いてヒト腫瘍門脈血行性転移モデルを確立した。このモデルを利用しヒト腫瘍肝転移微小循環の動態解析、代謝物解析を目的とした。ヒト由来癌細胞にGFPをトランスフェクションさせ恒常的に発現させstable lineを作成した。これをNOGマウス(9〜11週齢)の脾臓に注入し経門脈経由にて肝臓へと転移を発現させ、共焦点の高感度生体ビデオカメラを使用し実質臓器における転移初期の細胞動態を探った。この方法で肝転移モデルを確立した。担癌肝での肝代謝を測定するために、担癌状態の肝臓から肝細胞と腫瘍細胞の分離方法を確立し、肝細胞のグルコース代謝や核酸合成の酵素群のタンパク発現を確かめた。これらの結果により担癌状態の肝細胞では糖新生、核酸合成の酵素発現が強いという結果が得られた。さらに分離した肝細胞を、質量標識体を含んだ培地で一定時間培養し、これら肝細胞の網羅的代謝物解析を行うことにより、担癌状態の肝細胞において、核酸合成がよく行われていることを確かめた。これらは抗がん剤を使用するに当たっての主作用副作用を予測する上で非常に重要であると考えている。
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