研究概要 |
手術で得られた膵切除標本(膵管内乳頭粘液性腫瘍=IPMN8症例、IPMN以外2症例、計10症例)のパラフィン固定標本にて、免疫組織学的検討を行った。第一抗体として抗MUC1抗体(clone Ma695,clone 1.10.F3,clone Ma552),抗MUC2抗体(clone Ccp58),抗MUC5AC抗体(clone CLH2),抗MUC6(clone CLH5)抗体、抗CDX1抗体(PAB-10468)、抗CDX2抗体(PAB-10469)、抗Sox2抗体(SC-17320)、抗PDX-1抗体(SC25403)、抗Notch抗体(SC23304)、抗SHH抗体(SC9024)を使用し、4℃オーバーナイトで反応させた。第一抗体に対応したビオチン結合第二抗体と室温で30分間反応させた洗浄後HRP標識アビジンと室温で30分間反応させた。 正常膵では、intralobular ductsにおける3種の抗体に対するMUC1免疫活性の発現は、膵管上皮細胞の内腔側の細胞表面に限局していた。一方、非浸潤性IPMNでは、MUC1免疫活性は細胞表面に限局しているか、全体に陰性であった。浸潤性IPMNではMa695抗体で強いMUC1免疫活性が認められた。MUC5AC免疫活性は全てのIPMN病変で認められた。MUC2とMUC6の免疫活性の発現は、IPMNの亜分類(胃型・腸型・膵胆型)によって異なっていた。さらに、分化誘導に関与する遺伝子であるcdx1・cdx2・sox2・pdx-1・notch・hedgehogの蛋白免疫活性発現パターンを検討したところ、興味深い知見が得られた。
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