研究課題/領域番号 |
18591554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
割石 精一郎 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (00403882)
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研究分担者 |
前田 博教 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (20335946)
久米 基彦 高知大学, 医学部附属病院, 助教 (80346725)
穴山 貴嗣 高知大学, 医学部, 助教 (30403893)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,920千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / 分子標的治療 / MCI-186 / エダラボン / VEGF / 腫瘍増殖抑制 / NF-kB / 増殖抑制 / シグナル伝達 / アポトーシス / 癌 |
研究概要 |
悪性胸膜中皮腫はアスベスト暴露がその発症に関与し、今後患者数の増加が予測されている疾患である。MCI-186(エダラボン)は脳梗塞治療に用いられている抗酸化剤であるが、我々はこのMCI-186が各種腫瘍細胞の増殖を抑制するとともに、上皮増殖因子レセプター(EGFR)リン酸化の抑制、さらには転写因子NFkB抑制活性を有することを示してきた。一方、悪性胸膜中皮腫ではその約70%にEGFRの発現が報告され、また本腫瘍細胞が血管内皮増殖因子(VEGF)を産生するとともに、それ自身もVEGFによって増殖が促進されることが示されている。本研究は、これら悪性胸膜中皮腫細胞の生物学的な増殖特性に対する分子標的治療としてのMCI-186の作用を解析し、より有効で副作用の少ない治療法の開発に取り組むものである。実験では悪性胸膜中皮腫細胞株であるMSTO-211Hを用い、インビトロ及びインビボにてMCI-186の効果につき検討した。インビトロでのMSTO-211Hの腫瘍増殖に対してMCI-186は抑制的に働き、特にIL-1beta誘導性の腫瘍増殖に対しても効果を示した。また抗癌剤MMCとの併用において相乗的に増殖抑制効果を示した。IL-1betaの刺激によって、MSTO-211HのVEGF産生が増強したが、MCI-186はこのVEGF産生を抑制した。さらにMCI-186は、MSTO-211H細胞のIkBリン酸化抑制活性も有したことから、VEGF産生の抑制はNFkB経路抑制を介する可能性が考えられた。ヌードマウスへの背部腫瘍移植での治療実験においても、MCI-186は腫瘍増殖を有意に抑制した。これらの結果は、MCI-186が悪性胸膜中皮腫の増殖を抑制すると共に、腫瘍浸潤時の血管新生に必要なVEGF産生も抑制しうることを示しており、これらの分子を標的とした治療への応用が期待できるものと考えられた。
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