研究概要 |
悪性胸膜中皮腫細胞株(H28、211H)に対し、ペメトレキセド、シスプラチン、ゲムタビン単剤での増殖抑制効果、ペメトレキセド、ゲムタビン併用効果検討を行った。その結果、細胞株におけるペメトレキセド、ゲムタビン同時併用では併用効果は認められなかった。 非担癌マウスの胸腔内にペメトレキセド0,25,125,250,500,1000,1500mg/kgを単回投与した。投与翌日には体重は2-3%減少するも、その後体重は回復し生育に伴い増加した。この傾向は薬剤の容量を増加させても変わらなかった。単回投与によるマウスの死亡は認めなかった。 次にマウス胸腔内にペメトレキセド0,100,250,500,750,1000mg/kgを週1回3週連続投与した。いずれの群もマウスの体重は生育に伴い増加し、統計学的有意差を認めなかった。すなわちペメトレキセド胸腔内投与においては薬剤容量依存性の体重減少は認められなかった。この点は以前同様の実験を行ったドセタキセルとは異なる。 211Hをマウス胸腔内に注入し1週間後,治療を開始した。マウスを7群に分け,胸腔内にペメトレキセド0,100,1000mg/kg,ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤であるSB20mg,SB20mgとペメトレキセド100mg/kg,腹腔内にペメトレキセド100,1000mg/kgを週1回3週連続投与した。各群において生存期間に有意差を認めなかった。 ペメトレキセドを胸腔内に100,1000mg/kg投与した群間では体重変動に有意差を認めなかったが、胸腔内に100mg/kg投与した群と腹腔内に100mg/kg投与した群では胸腔内投与群が有意差を持って発育に伴う体重増加を認めた。 ペメトレキセド胸腔内投与の副作用は腹腔投与と比較して軽度であることが推察される。
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