研究課題/領域番号 |
18591570
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
花桐 武志 (2007) 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
菅谷 将一 (2006) 産業医科大学, 医学部, 助手 (40352306)
|
研究分担者 |
安元 公正 産業医科大学, 医学部, 教授 (30150452)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,820千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 胸膜中皮腫 / 腫瘍抗原 / 抗体 / SEREX |
研究概要 |
悪性胸膜申皮腫は早期発見が困難であり、かつ標準的治療法の確立がなされておらず、予後不良の疾患である。そのため、抗癌剤、放射線治療を含めた集学的治療および免疫療法などの新しい治療法の確立が重要であり、血清診断の補助となるマーカーの開発も望まれる。本研究では、悪性胸膜中皮腫における腫瘍内浸潤B細胞の液性免疫応答の解析を行い、診断や治療に有用な抗原を選定することを目的としている。5症例の胸膜中皮腫患者を対象に解析を行い、11種類の腫瘍関連遺伝子を同定した。そのうち7つの遺伝子が機能既知の遺伝子で、細胞周期や細胞分化を制御する機能に関与する抗原遺伝子が含まれており、残りの4つの遺伝子はゲノムプロジェクトなどで登録はされているが機能未知の遺伝子であった。また5症例の中で2症例より胸膜中皮腫の細胞株を樹立し、遺伝子の発現解析やcDNA libraryの作成に用いた。胸膜中皮腫組織と正常組織におけるmRNAの発現をRT-PCR法で調べたところ、6つの遺伝子は胸膜中皮腫組織で過剰発現しており、腫瘍関連抗原と考えられた。その6つの腫瘍関連抗原のうちThrombospondin-2と機能不明の遺伝子であるGene-Xは、他家の胸膜中皮腫患者血清中にも抗体を検出することができたため、血清学的な診断のためのマーカーとしての応用の可能性を検討した。悪性胸膜中皮腫患者12名と健常人19名の血清を200倍から25000倍まで希釈し、Phage plaque assayにて抗原抗体反応を評価した。Gene-Xでは、5000倍希釈の血清で判定したところ、胸膜中皮腫患者で12例中7例(58.3%)に抗体を検出でき、健常人では19例全例で抗体検出ができなかった。またthrombospondin-2は1000倍希釈で判定したところ、胸膜中皮腫患者で12例中11例(91.7%)、健常人で19例中1例に抗体を検出した。次に肺癌患者での血清抗体価を測定したが、Gene-Xでは、47例中全例で抗原抗体反応の検出ができず、thrombospondin-2は47例中1例にのみ抗体を検出した。この二つの遺伝子に対する抗体は健常人および肺癌患者に比べ胸膜中皮腫患者血清にて有意に高い頻度で検出することができ、腫瘍マーカーとしての応用が可能であると考えた。今後は、これらの腫瘍関連抗原遺伝子が、免疫療法の標的として利用することが可能か検討する予定である。
|