研究概要 |
本研究の目的は骨肉腫原発巣の切除後に抗血管新生療法を行うことによって、肺転移の増殖が抑制されることを証明することである。 1)Ad5.CMV-mEndoの感染を確認するため、Ad5.CMV-mEndo(Q-BIO gene,Carlsland,CA)(1×10^6,1×10^7,1×10^8particles)を尾静脈に注入後1週、2週後に採血を行い、ELISA法にてendostatin濃度を計測した。血清endostatin濃度は、静注したウイルス数に依存して上昇していた。 2)生体内の血管新生誘導能はMatrigel plug assayをもちいて検討した。10^6個のLM細胞をヌードマウスの皮下に移植。移植2週後にAd5.CW-mEndo(Q-BIO gene,Carlsland,CA)(1×10^6,1×10^7,1×10^8particles)を尾静脈に注入すると同時に。MatrigeIを皮下注入した。注入後2週後にMatrigelplugを取り出し、Drabkin法を用いてMatrigel内のヘモグロビン濃度を定量化した。ヘモグロビン濃度は1×10^7あるいは1×10^8 particlesのAd5.CMV-mEndoを感染させた群で有意に低下していた(Lacz vs7PFU;p=0.0005,LacZ vs 8PFU;p=0.0003)。 3)Ad5.CMV-mEndo尾静脈注入2週後にヌードマウスを深麻酔後に屠殺し、肺転移の状況をAd5.CMV-LacZ静注コントロール群と肺転移の状況と比較した。抗血管新生療法施行2週後の肺転移の数は1×10^7あるいは1×10^8個のウイルス感染群でコントロール群と比較して有意に減少した(LacZ v.s. 7 PFU;p=0.002,La Z v.s. 8 PFU;P=0.003)。この肺転移の抑制は、血管新生誘導能の低下を伴っていた(LacZv.s. 7 PFU; p=0.0005,LacZ v.s. 8 PFU; p=0.0003)。肺転移巣の大きさも1×10^7and1×10^8個投与群でコントロール群と比較し有意に小さく,抗血管新生療法により転移巣の腫瘍径の増大も抑制された。
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