研究概要 |
研究I.ラット膝OAモデルの関節軟骨細胞におけるautophagy現象の解析:薬剤(MIA)誘発性OAモデルの関節骨細胞ではMIA投与後12時間よりautophagyを著明に発生しながら,2w後には細胞死をきたしている電子顕微鏡検査結果を得た.Western Blot(WB)法解析で,膜型MAP-LC3IIの発現は,MIA投与後18時間で著名なピーク(7.7倍)を認め,Atg5-Atg12formの発現は,2wでピークを認めた。ラット前十字靱帯切離OAモデル(ACLT)は、有意なautophagy発生を示さなかった.このことは、MIAラットモデルでは,変性の過程で軟骨細胞がautophagy発生を著明に亢進する細胞死を来すことを示している.研究II.ラット成長軟骨板におけるautophagy現象の解析:4w齢の成長軟骨板の軟骨細胞でautophagyが亢進している電子顕微鏡検査結果を得た.WB法解析で,膜型MAP-LC3IIの発ピークは,ラットの大腿骨のGrowth Spurtの開始時(2W)と一致し,Atg5-Atg12 formの発現ピークは,近位成長軟骨板および遠位成長軟骨板の二次骨化が出現する時期(6w,2w)と一致していた.RT-PCR法解析にて,autophagy関連遺伝子の発現上昇は,ラットの大腿骨のGrowth Spurtの開始時と一致していた.この結果は,成長期のラット成長骨板において,autophagyが亢進していることを示している、研究III.ヒトOAの関節軟骨細胞におけるautophagyおよび小胞体ストレスの解析:電子顕微鏡検査によりGrade3-OA軟骨細胞においてautophagy発生を認めた.WB法解析では、LC3-IIの発現が変性軟骨検体で上昇していた.autophagy関連遺伝子の発現解析では,MAP-LC3,ATG5,ATG7がGrade3検体で上昇していた.小胞体ストレス関連遺伝子(CHOP,processed-XBP1)は,変性軟骨検体で上昇しているのを確認した。免疫染色にて軟骨変性のGradingの重症度と平行して変性軟骨細胞は抗ユビキチン抗体による染色性の増加を示した.これらの結果は,ヒトOAの変性軟骨細胞において,蛋白分解システムであるautophagy,小胞体ストレス経路が活性化していることを示している.研究I-IIIの実験結果により,軟骨組織の変性の過程で軟骨細胞にautophagyが亢進している事を示すことができた.
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