研究概要 |
【はじめに】膝前十字靭帯(以下 ACL)再建手術を行って後,安定性良好と思われる例でも,スポーツにおける不安定感を訴える場合がある.術後膝において,未だ完全に生理的な運動の回復はされていないことがその要因と考えられる.この点を明らかにするためのMDCT画像と透視(DR)画像とのimage matchingによりACL再建膝の動作な解析を行う方法について検討した. 【方法】3次元画像は,MDCT(Siemens,画素数512×512,スライス厚0.7mm),透視画像はフラットパネルデジタルアンギオグラフィ装置(日立,画素数1024×1024,フレームレート60fps)により取得した.2-D/3-Dイメージマッチングを行う際に,骨形状の輪郭が特徴的な領域(大腿骨顆間窩および腓骨)を関心領域として骨形状に特徴の少ない他の部分と区別するファジィ関心領域イメージマッチングを行い従来法と誤差の比較を行った.また本手法をACL再建膝3例に適用し健・患側膝の荷重時屈曲kinematicsを比較した. 【結果】ファジィ関心領域イメージマッチングの適用により従来法に比べて特に回旋角度において精度が改善した.ACL再建膝の健側との比較では制動不良の症例と過制動となっている症例の2つのパターンが認められた. 【考察】ACL再建膝においては,過去に報告されている人工関節のモデルと比較し,固定具の形状がランドマークとしては使用し難いしかし,この手法により解析精度の改善が可能になると考える.今後再建術を施行した症例に対し解析を行い.また健常膝にも応用し,比較することで,より動的な状態での生理的な膝の再建のための術式の検討を行えることが期待される.
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