研究課題
基盤研究(C)
神経細胞死誘発のメカニズムを解析するためにアストロサイト内のカルシウムホメオスタシスを司るNa+/Ca2+交換系(NCX2)と脳内Ca2+動態、カルシニューリン/イムノフィリン情報伝達系およびミトコンドリア機能不全との連関に焦点を当て、新規治療法開発への糸口を見出すためNa+/Ca2+交換系遺伝子knockout mouse(以後NCXKO群とする)を用いて前脳虚血におけるNa+/Ca2+交換系の役割、海馬スライスによるグリア内とミトコンドリア内Ca2+動態、ミトコンドリア機能不全におけるNCXの役割を検討した。本実験から得られた成果は、以下の通りであった。(1)前脳虚血負荷においてNCXKO群はwild群に比べて神経保護作用は示さなかった。(2)グリア内Ca2+濃度は通常時と虚血時はwild群より高いが、サイクロスポリンA(CSA)によりその上昇は抑制された。(3)ミトコンドリア内Ca2+濃度はwild群と同じ変動を呈した。ミトコンドリアのCa2+負荷による膨化、持続投与によるCa2+取り込み(Calcium Retension Capacity:CRC)においてNCXKO群とwiId群に有意な差は認めなかったが、呼吸能(Respiratory Control Ratio:RCR)においてstate3呼吸による酸素消費がNCXKO群はwild群より有意に高かった。この結果より、以下のことが考えられた。(1)Na+/Ca2+交換系遺伝子改変を加えたKOマウスを用いたが、ヘテロ個体のため十分にNCXの機能を抑制することができなかったと考えられた。しかし、海馬スライスから得られた結果よりグリア内Ca2+濃度が通常のマウス海馬スライスよりも高値であることからある程度NCXの機能が抑制されていることも明らかとなった。(2)ミトコンドリア機能不全を起こす誘因のひとつであるMPTによるミトコンドリアの膨化がNCXKO群とwild群に認められ、NCXの抑制はミトコンドリアには影響していないことも明らかとなった。(3)また、state3呼吸による酸素消費が高値となった理由のひとつとしてCa2+の排出に時間がかかるためATP合成に酸素が必要となるのでないかと考えられた。今回の成果より脳虚血に伴う神経細胞死形成におけるNa+/Ca2+交換系の重要性が明らかとなった。
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