ホルモン不応性前立腺癌におけるNFkB活性化の意義とその経路を標的とした治療戦略

• 研究課題/領域番号: 18591742
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 泌尿器科学
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 小中 弘之 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (40334768)
• 研究分担者: 溝上 敦 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (50248580) ; 京 哲 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (50272969)
• 研究期間 (年度): 2006 – 2007
• 研究課題ステータス: 完了 (2007年度)
• 配分額: 3,950千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 450千円); 2007年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円); 2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
• キーワード: ホルモン不応性前立腺癌 / アンドロゲン / 再燃メカニズム / NF-κB / LNCaP / デコイ / ドミナントネガティブ / 分子標的薬 / アンドロゲン非依存性前立腺癌 / 転写制御因子 / 分子標的創薬

研究概要

ホルモン不応性前立腺癌の新たな治療法を開発していく上で,前立腺癌の再燃メカニズムを解明することは必要不可欠である.以前より,我々はホルモン不応性前立腺癌における分子標的として,転写制御因子NF-κBに着目し研究を進めてきた.近年NF-κBの活性化が癌細胞の増殖促進,アポトーシス抑制,血管新生誘導,転移能増強を誘導することが明らかになってきた.前立腺癌においては,恒常的なNF-κB活性の上昇がアンドロゲン非感受性前立腺癌細胞株で認められている一方,アンドロゲン感受性前立腺癌細胞株では認められていない.今回我々は,NF-κBの恒常的活性化という新たな視点から前立腺癌の再燃メカニズムを解明すると共に,NF-κB活性を効果的に抑制するための各種遺伝子阻害技術を検討し,ホルモン不応性前立腺癌に対する新たな治療戦略の確立を試みた.
まず,恒常的なNF-κB活性の上昇が認められないアンドロゲン感受性前立腺癌細胞株LNCaPにおいて,アンドロゲンフリーの環境で培養すると,NF-κB活性の有意な上昇が認められた.この結果から,NF-κB活性の上昇はアンドロゲン依存性から非依存性への移行に何らかの形で関与しており,"アンドロゲン除去はヒト前立腺癌細胞株LNCaPにおけるNF-κB活性を亢進させる"ことを明らかにした.
次に,NF-κBをターゲットとしたアンドロゲン非依存性前立腺癌に対する新規治療法を確立するために,NF-κBデコイ,ドミナントネガティブ,分子標的薬等の遺伝子阻害技術を用いてNF-κB転写活性を抑制し,抗腫瘍効果をin vitroで検討した.本研究期間内に,これら遺伝子阻害技術によるSCIDマウスを用いたin vivoの検討を行う予定であったが,LNCaPを用いた骨転移モデルの作製が困難であったため暗礁に乗り上げた状態にある.今後は,科研費の有無に関わらず,再燃前立腺癌の治療実験に有用な同モデルの作製に取り組む予定である.

研究成果

• [雑誌論文] Hormonal therapy. (2007)
  • 著者名/発表者名: Namiki M, Ueno S, Kitagawa Y, Konaka H, Mizokami A, Koh E, Fukagai T.
  • 雑誌名: Int J Clin Oncol. 12 ページ: 427-432
  • NAID: 10020114982
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • 査読あり
• [雑誌論文] Molecular features of hormone-refractory prostate cancer cells by genome-wide gene expression profiles. (2007)
  • 著者名/発表者名: Tamura K, Furihata M, Tsunoda T, Ashida S, Takata R, Obara W, Yoshioka H, Daigo Y, Nasu Y, Kumon H, Konaka H, Namiki M, Tozaw K. Kohri K, Tanji N, Yokoyama M, Shimazui T, Akaza H, Mizutani Y, Miki T, Fujioka T, Shuin T, Nakamura Y, Nakagawa H.
  • 雑誌名: Cancer Res. 67 ページ: 5117-5125
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hormonal therapy (2007)
  • 著者名/発表者名: Namiki, M., Ueno, S., Kitagawa, Y., Konaka, H., Mizokami, A., Koh, E., Fukagai, T
  • 雑誌名: Int J Olin Oncol 12(6) ページ: 427-32
  • NAID: 10020114982
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Molecular features of hormone-refractory prostate cancer cells by genome-wide gene expression profiles (2007)
  • 著者名/発表者名: Tamura, K., Furihata, M., Tsunoda, T., Ashida, S., Takata, R., Obara, W., Yoshioka, H., Daigo, Y., Nasu, Y., Kumon, H., Konaka, H., Namiki, M., Tozawa, K., Kohri, K., Tanji, N., Yokoyama, M., Shimazui, T., Akaza, H., Mizutani, Y., Mik,i T., Fujioka, T., Shuin, T., Nakamura, Y., Nakagawa, H
  • 雑誌名: Cancer Res 67(11) ページ: 5117-25
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より