研究概要 |
分子生物学的研究:ヒトおよびブタ膀胱平滑筋および尿路上皮の組織切片を用いて、ムスカリン、アドレナリン受容体サブタイプ、低分子量G蛋白であるRho/Rho kinaseなどのmRNAと蛋白の発現を、放射線リガンド結合実験、real time定量的RT-PCR,Western Blotting,免疫組織染色法により検討した結果、ブタ上皮および平滑筋にはM2ムスカリン受容体が多く、ヒト上皮および平滑筋にはM3受容体の方がM2より多い事が判明した。また、ブタ、ヒトともにβ3-アドレナリン受容体サブタイプが多いことも発見した。RhoAおよびその活性は、筋層よりも上皮に多く発現した。 排尿筋におけるin vitro収縮機能実験:ヒト、ブタともにCarbacholの濃度-反応曲線では、最大収縮(Emaz)は、粘膜の非付着切片ではY27632の3、10、30μM存在下でそれぞれ82%、64%、58%に、粘膜付着切片ではそれぞれ107%、56%、17%に減少した。次に80mM KClまたは100μM Carbacholで前収縮させた膀胱切片に、Y27632またはfasudil(0.1nM-100μM)を投与し濃度-反応曲線を作成した。その結果粘膜の存在下では、Y27632はKCI前収縮による張力を粘膜無しでは(52.0±4.6%)粘膜付き(28±6.8%)よりも有意に(p=0.0088)減少させ、またcarbachol前収縮による張力も粘膜無しでは(53.1±7.2%),粘膜付き(30.6±5.81%)よりも有意に(p=0.0035)減少させた。また、経壁電気刺激(20Hz)による膀胱収縮は、粘膜なしでは、Y-27632(3,10,and 30 μM)投与によりそれぞれ98.5%,88.4%,59.5%減少し、粘膜ありでは、それぞれ61.3%,48.0%,and 36.3%減少させた。
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