研究課題
基盤研究(C)
生殖器粘膜における免疫学的研究、特に細胞性免疫に関する研究はこれまでほとんどなかった。本研究では、生殖器粘膜の中で癌の発生頻度が最も高い子宮頸部粘膜に注目した。子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)感染が深く関与していることから、HPVに対する細胞性免疫を調べることによって、子宮頸癌に対する免疫機構の解明とその発生制御に結びつく可能性がある。本研究では、まず子宮頸部に所属する粘膜リンパ球を分離培養する方法を樹立した。その粘膜リンパ球における表面抗原の解析を行い、T, B, NK cellが揃っていることを確認した。さらに、腸管の感染防御を担っている粘膜リンパ球が子宮頸部に帰巣(homing)していることを初めて発見した。子宮頸部における粘膜免疫は、腸管粘膜リンパ球の影響下にあることが確認されたことから、腸管粘膜にワクチン刺激を与えることによって子宮頸部のHPVに対する粘膜免疫を効率的に誘導できる可能性がある。そこで、本研究では、乳酸菌を使って抗HPV細胞性免疫誘導ワクチンを考案し、マウス実験で、乳酸菌HPVワクチンが強い粘膜型抗HPV-CTLを誘導できることを確認した。次に、子宮頸部の第一線で免疫バリアの役割を果たし、かつ多くの微生物の標的組織となる子宮頸部上皮細胞について、免疫学的バリア機能を解析した。前回の基盤研究では獲得免疫に重要なTh1誘導因子、T-betについて解析したが、本研究では、上皮細胞に発現し初期免疫と獲得免疫の架け橋を担うCD1d分子の解析を行った。子宮頸部上皮のCDldは、腟壁や陰茎上皮に比べて、発現量が弱く免疫反応性も弱かった。このことから、子宮頸部が多くの微生物の持続感染を許すメカニズムの1つであると考えられた。
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