研究概要 |
発癌や癌の進展過程において多くの遺伝子発現がDNAメチル化あるいはピストン修飾によるエピジェネティックな制御を受けている。DNAメチル化制御機構ならびにピストン修飾の研究によって、発癌や癌の進展過程におけるエピジェネティックな制御機構の不均等性が明らかになってきた。 われわれは、ピストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACIs)であるtrichostatin A(TSA),suberoyl anilide bishyd roxamine(SAHA)、valproic acid(VPA),sodium butyrate(NaB)などが子宮体癌や卵巣癌に対し、in vitroでもin vivoでも著明な抗癌作用を有し、p21,p27,E-cadherinなどの癌抑制遺伝子の発現の亢進を伴い、アポトーシスや細胞周期の停止を引き起こすことを報告した(Takai, et. Al.Ciin Cancer Res,2004;Takai, et. Al.Cancer,2004)。 そこで、われわれはmicroarrayを利用して子宮体癌細胞株Ishikawaにピストン脱アセチル化酵素阻害剤のSAHAと脱メチル化剤の5Aza-dCを投与し、発現が亢進した約40種の遺伝子群を抽出し、その中の2つの遺伝子TIG-1とC/EBP-alphaが子宮体癌の新しい癌抑制遺伝子であることを発見し報告した(Takai, et. al.Mol Cancer Res,2005)。 今回は、この2つの新しい癌抑制遺伝子以外の約40種の遺伝子について十分な検討を行うことを目的として、Real time RT-PCR法によるmRNA発現変化の検討、Western blotting法による蛋白の発現変化の検討、クロマチン免疫沈降法によるヒストン修飾の検索、Bisulfite sequence法によるプロモーター領域のメチル化の検索を行い、新しい癌抑制遺伝子について新たな知見を得る事ができた。
|