研究概要 |
好酸球性副鼻腔炎やAspirin induced asthma(AIA)の病因は複雑であり十分解明されていない。そして多くの研究は上皮細胞や好酸球メディエーターに焦点が置かれている。肥満細胞は鼻茸組織中の炎症細胞の中で主要なものであり、好酸球性副鼻腔炎やAIAの鼻茸でも特に多く認められる。 本研究では我々が確立した鼻茸粘膜由来の肥満細胞株の培養システムを用いて、好酸球性鼻茸における肥満細胞の活性化メカニズムを解明し、さらに鼻茸組織で見られる組織変化における肥満細胞の役割を明らかにすることを目的とした。鼻茸におけるCD34^+肥満細胞前駆細胞を、MACS sortingにて単離する。これをSCFとIL-6の存在下に96穴培養プレートでメチルセルロースを用いたcolony cultureを行い、鼻粘膜由来細胞を培養した。 抗親和性IgEリセプターFcεRI抗体を用いて肥満細胞を刺激し、肥満細胞から分泌されるヒスタミン、トリプターゼ、IL-4,IL-5,TNF-α,IL-13,TGF-βをELISAにて測定し、ヒスタミン、トリプターゼ、IL-4,IL-5,TNF-α,IL-13の産生量が増加した。鼻茸組織中の肥満細胞の蛋白であるヒスタミンの量と好酸球の蛋白であるeosinophilic cationic protein(ECP)の間に正の相関が認められた。この様なIL-4,IL-13などの増加が鼻茸におけるIgEの産生、好酸球性炎症に関与している。また、肥満細胞がヒスタミンの産生により上皮細胞からのRANTESを産生させ鼻茸における好酸球の遊走に関与する事が示唆された。 また、鼻茸組織中にMMP9(ゼラチナーゼ)が高く発現した。一方TIMP1,2,は僅かであった。肥満細胞や好酸球にはMMP9が発現した。
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