研究課題
基盤研究(C)
1.組換えWDR36タンパク質の発現および精製WDR36タンパク質の特性等を解析するために、このタンパク質の発現・精製を試みた。これまでに、大腸菌で発現させたヒトWDR36タンパク質は低温条件(15℃)で発現誘導させると可溶化能が向上することを明らかにした。より改善するために、これに発現段階で分子シャペロン(groESおよびgroEL等)を共発現させた。その結果、可溶化能が更に向上し精製タンパク質を調製することが出来る可能性が高まった。2.遺伝子解析欧米人の緑内障患者において検出されているD658Gが、日本人においても認められるか否かを調べた。同意を得た患者70人の血液よりゲノムDNAを精製し、変異が報告されている領域をPCRにより増幅し、配列の決定を行った。その結果、変異を確認することが出来なかった。このことは日本人においてはD658G変異が、緑内障発症に関与しない可能性を示唆するが、より信頼性を高めるために更に多くの症例を解析する必要があると考えられる。3.細胞内局在の調査WDR36タンパク質の細胞内局在および機能を調査するために、野生型および緑内障発症に関与すると考えられているD658G型変異をコードするWDR36遺伝子、各々を発現ベクターに組み込み、これらを標準的な条件で培養したCOS-1、NIH3T3およびRGC-5細胞に導入し、発現させたタンパク質の局在および細胞への影響を調査した。その結果、WDR36タンパク質は変異の有無に関係なく細胞質に分布し、細胞の形態変化あるいは細胞死等の違いは認められなかった。これらのことから、D658G型タンパク質は、緑内障発症に関与することが知られている酸化ストレス等を与えた条件下でのみ、野生型タンパク質の機能との違いが検出されることが考えられる。また、WDR36タンパク質はある特定の細胞内オルガネラではなくサイトゾルで働くことが予想される。
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Molecular Vision 13
ページ: 545-548
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ページ: 156-158