研究概要 |
研究代表者は、炎症性サイトカイン等のmediatorを吸着、除去できるカラム(以下CTRと呼ぶ)を開発した。そこで今回、ラットを用いたエンドトキシンショックモデルに対してCTRを用いた血液浄化療法を行い、生命予後の改善を検討するとともに、サイトカイン等のmediatorを指標としてCTRの有用性を検討した。<実験>実験を3段階に分けて検討した。1)エンドトキシンの投与と同時にCTRを用いた血液浄化療法を行い、CTRの効果を判定する。2)エンドトキシン投与後2時間経過した時点でCTRを用いた血液浄化療法を行い、CTRの効果を判定する。3)CTRの量を変えてエンドトキシンショックモデルに血液浄化療法を行い、量的関係を解明する。<結果>1)エンドトキシン投与直後にCTRを用いた血液浄化療法を行うと、生存率は改善し(8%vs86%)、サイトカイン(TNF-alpha,IL-1beta,IL-6,IL-10)の上昇を抑制、さらに肺への炎症性細胞の浸潤を抑制することが判明した。2)CTRを用いた血液浄化療法は、エンドトキシン投与後2時間経過しても生存率を改善し(17%vs67%)、炎症性サイトカイン(IL-6)の上昇を抑制することを再確認した。3)CTRを用いた血液浄化療法は、エンドトキシンショックモデルにおいてCTRの充填量の量依存的に生存率を改善し、抗炎症効果を認めることを確認した。<結語>今回の研究により、CTRを用いた血液浄化療法は、エンドトキシンショックモデルにおいて生存率を改善し、抗炎症効果を発揮することが判明した。今後、臨床により近い動物実験を重ねる必要があるが、敗血症性ショックに対する治療法として、臨床応用への道を切り開くことができたと確信する。
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