研究課題
基盤研究(C)
近年、ゲノム情報発現系の新たな調節・制御分子として注目されているmicroRNA(miRNA)はゲノムの非コード領域に座位する機能性低分子RNAであるが、蛋白質をコードする癌遺伝子や癌抑制遺伝子と同様に、癌の発症・進展過程の分子機序に深く関与すると考えられる。本研究課題では口腔扁平上皮癌(OSCC)関連癌抑制miRNA遺伝子の単離・同定を目指して、18株のOSCC細胞株および正常口腔粘膜上皮由来不死化細胞株RT7における148種のmiRNAの定量的発現解析にDNAメチル化解析を組み合わせた絞り込みによって、OSCC細胞株で高頻度に発現低下を認め、且つメチル化異常のパターンと発現抑制が完全に一致する4種類のmiRNA(miR-34b,miR-137,miR-193a,miR-203)を選出した。選出した4種類の候補miRNA遺伝子についてOSCC患者11例の癌部・非癌部組織を用いたDNAメチル化解析と定量的発現解析を進め、OSCC関連癌抑制miRNA遺伝子の候補としてmiR-137とmiR-193aを見出した。さらに、in vitro実験系を用いた詳細な機能解析の結果、miR-137ならびにmiR-193aはOSCCにおいて癌特異的DNA過剰メチル化によって発現が抑制される癌抑制miRNA遺伝子であること、また、細胞増殖に重要な癌遺伝子として知られているCDK6とE2F6が、miR-137ならびにmiR-193a各々の標的分子であることも明らかにした。
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