研究課題
基盤研究(C)
インフルエンザウイルスと口腔細菌との混合感染によるマウス致死率の検討を行った。その結果、非致死量のウイルス感染2日後に非致死量の口腔レンサ球菌(Streptococcus mutans,S.sanguis,S.salivarius,S.equi)を感染したところ、ウイルスとS.mutansとの混合感染により60%,その他の各種細菌とウイルスとの感染によって100%マウスが肺炎により感染死した。一方各種細菌のみもしくはウイルスのみでの経鼻感染ではすべてのマウスは感染死を免れた。この結果はDental Caries以外にさしたる病原性を示さないと考えられていた口腔レンサ球菌がインフルエンザウイルス存在下で致死性肺炎を起こす可能性を提示するものであり、最近論議されている致死的インフルエンザ感染症と口腔清掃状態との因果関係を示す重要な知見になりうると思われる。病原性については不溶性グルカンの炎症性免疫応答の可能性が部分的な要因と考えられたものの、この期間内に明確に同定することができず、今後の検討課題として残された。一方、このようなインフルエンザウイルスこの状態を予防するためにはワクチン接種が有効であると考えられる。しかし、インフルエンザヘマグルチニン(HA)ワクチンの接種を行った場合、有効な感染防御効果を誘導することができなかった。この実験で死亡したワクチン接種マウス肺での観察ではインフルエンザ感染後でも少数ながらインフルエンザ感染細胞が存在しており、この部分に細菌が付着、増殖していた。そこで、インフルエンザワクチンの防御免疫効果増強を誘導するアジュバントの検索を行った。そして、ポリ-γ-グルタミン酸ナノ粒子(γ-PGA-NPs)をワクチンと混合することで抗インフルエンザ防御免疫応答の増強が認められ、HAワクチン接種マウスでも全例死亡する大量のウイルス量の感染に対しても80%のマウスが感染死を免れた。
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