研究課題
基盤研究(C)
歯周病やリウマチの罹患部では炎症にともなって破骨細胞形成が誘導され、壊滅的な骨や軟骨の破壊がおこる。したがって、破骨細胞の分化誘導機構を解明すれば、骨破壊を伴う疾患の新たな治療方法の開発に役立つと期待される。破骨細胞は単球・マクロファージに由来するが、これらの細胞からは樹状細胞と呼ばれる免疫に深く関与する細胞も誘導される。我々は、共通の前駆細胞を用いて破骨細胞と樹状細胞の分化過程における形質変化について詳細に検討した。その結果、約72時間を要する破骨細胞分化の過程において、24時間以内に樹状細胞への分化能が失われることを見いだした。また、この時点での細胞の形質は極めてユニークであり、マクロファージ様の貪食能を有しているものの、破骨細胞分化誘導因子であるRANKLの刺激を生存に必要としていた。さらに我々は、破骨細胞と樹状細胞の分化の振り分けに関与する因子を同定するため、DNAマイクロアレイを用いて破骨細胞と樹状細胞への分化過程におけるメッセンジャーRNAの発現レベル変化を網羅的に解析した。その結果、IRF-8(仮名DOF1)と呼ばれる転写因子の発現レベルが樹状細胞分化では変化せず、破骨細胞分化においてのみ低下することを見いだした。IRF-8欠損マウスを解析したところ、破骨細胞分化が亢進し、著明な骨粗鬆症を発症していることが明らかになった。さらに、前駆細胞にIRF-8を強制的に発現させると破骨細胞分化が強く抑制され、樹状細胞のみに分化することが判明した。これらの結果は、破骨細胞と樹状細胞の分化の振り分けにおいてIRF-8が破骨細胞分化を抑制する一方、樹状細胞分化を促進する役割を担っていることを示唆し、歯周病やリウマチなどにおける骨・軟骨破壊の治療法の開発に役立つと期待される。
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