研究課題
基盤研究(C)
ガス状フリーラジカルの一種である一酸化窒素(NO)は、細胞内、細胞間のシグナル分子として機能する。NOのシグナル伝達機序には、古典的なcGMPを介する系に加え、NOあるいはNO代謝物に依存した生体分子の化学修飾によるシグナル伝達機構が存在することが示唆されている。本研究では、硬組織を構成する細胞の分化および機能発現におけるNOの役割について、NOの代謝、生体分子の化学修飾に着目して解析した。まず、硬組織構成細胞の培養モデルの構築を行った。マウス歯髄細胞の培養系を用いて象牙芽細胞様の分化系を作製した。また、炎症性の破骨細胞分化のモデルとしてTNF-αによるex vivo骨吸収系および破骨細胞分化系でNOの役割を解析するとともに、主週病病原菌構成物質による破骨細胞分化系を作製した。また、炎症性軟骨疾患のモデルとしてIL-1による軟骨細胞のマトリクス代謝解析系を作製した。これらの硬組織構成細胞の分化、培養系を用いてNOおよびその代謝物の役割を解析し、次のような結果を得た。マウスの歯質を非露髄的に切削すると歯髄において誘導型NO合成酵素(iNos)の発現が上昇することを見出した。そこで、歯髄細胞をNOで刺激したところ、象牙芽細胞の分化が進み、石灰化も促進されたことから、切削に伴う第三象牙質形成促進にNOが関与すると考えられた。TNF-α誘導性の骨吸収および破骨細胞形成はiNOS遺伝子欠損マウスでは抑制されたことから、TNF-αによる破骨細胞分化にiNOS由来のNOが関与することが示唆された。破骨細胞分化過程でiNOSの発現誘導とニトロ化核酸代謝物の生成が認められた。最後にIL-1による軟骨細胞の基質代謝を解析したところ、IL-1刺激によりTRAF6、NF-κBを介して食細胞型NADPH-oxidase(NOX-2)の発現および活性化が誘導されることを見出した。NOX-2の活性に依存して細胞内外のpHが低下し、さらにそれが原因でヒアルロニダーゼ活性が上昇し、細胞外基質が減少することが明らかとなった。
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