研究概要 |
本研究は,安全性の高いBis-GMA含有次世代歯科用レジンの創製を目的とするものであり,ビスフェノールA捕捉活性のある活性アルミナ充填材を配合する手法より,ビスフェノールA類の溶出を抑制したシステムの確立のための礎を築くことができた. 1.様々な市販Bis-GMAモノマー成分をHPLCを用いて分析した.Bis-GMAの含有率は約50%であり,Bis-GMAの異性体であるIso-Bis-GMAが約25%存在していることから,異性体を含めて約80%程度のBis-GMAを含有することが判明した.市販Bis-GMAをシリカゲルカラムに注入し,クロロホルムで分離することで,20〜30%の収率で純粋なBis-GMA主成分モノマーが得られた. 2.純粋なBis-GMAにコモノマー,重合開始剤,充填材などを組み合わせて,化学重合型および可視光線重合型レジンを調製した.硬化したレジンの諸物性を検討した結果,Bis-GMA中に存在するビスフェノールA等の不純物を捕捉・固定化させることは極めて有意義であることが明らかとなった。 3.活性アルミナによるビスフェノールAの自己消滅・固定化性能を評価するために,様々な組成の可視光線重合型コンポジットレジンを試作した.50wt%の塩基性活性アルミナを配合することにより,ビスフェノールAが効果的に捕捉・固定化された.硬化レジンの諸物性を測定した結果,改良の余地はあるものの,活性アルミナ配合の有効性が明らかとなった.
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