研究概要 |
研究#1:若年者を対象に睡眠時ブラキシズム(Brux)頻度を貼付型Brux検出装置を用いて計測し,顎関節症症状の有症状率との関連を検討した.平成17年度岡山一宮高校1年生のなかで同意が得られた195名に顎関節部を含む頭頸背部筋の臨床診査,質問票による問診を行い,貼付型Brux検出装置による1晩のブラキシズム頻度との関連を検討した.その結果,127名の最終被検者では,男性ではブラキサーの診断閾値を高値にするほど,クリックや頭痛に対するO.R.は増加し,クリック6.67(p=0.02),頭痛4.85(p=0.04)であった.多変量解析では,Brux頻度とクリック有症状者との間には性差に関係なく有意な関連(O.R.:3.74, p=0.02)が認められたが,頭痛は男性であることに関連(O.R.:2.52, p=0.04)が認められた.一方,圧痛とBrux頻度の間に相関は認められなかった. 研究#2:エラー表示の発生を解決するため皮膚通電感知センサーの仕様変更を行い,改良型Brux測定装置を開発した.そこで,新旧バイトストリップをBrux陽性の6名に5日間同時に使用させ測定結果を比較した.その結果,旧型のエラー表示は14個(46.7%),新型では1個(3.3%)と有意にエラー発生率は低下した(p<0.01). 研究#3:Brux患者の特異性を検討する前段階として,Bruxの日差変動を考慮した各種の診断方法の診断方法の妥当性を検討した.本院補綴科(クラウンブリッジ)の顎関節症,口腔顔面痛み外来に受診した連続患者サンプルのうち,顎関節内障患者(ID)ならびに咀嚼筋痛患者(MFP)と診断された被検者に,10日間連続してBrux頻度を自宅に計測させた,各被験者毎のBrux頻度の診断方法を検討した.各種診断方法は,任意の1日の結果,連続2日間,および連続3日間の結果を抽出し,種々の方法にて代表値を算出した。これらの値にブラキサーの診断基準を適用し,10日間の代表値と比較した場合の各種診断方法の感度,特異度,正診率を算出した.最終サンプルの8名(女性:平均年齢41.5+/-20.7歳,ID群6名,MFP群2名)では1日の検査でも感度:0.80-0.90,特異度:0.80-0.86,正診率:0.81-088と高い値を示した.また,他の検査法では測定日数の増加に伴い正診率は上昇した.
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