研究概要 |
実験は体重10〜12kgのビーグル成犬を使用した.rhGDF-5/β-TCP複合体は1gのβ-TCPに対し,500μgのrecombinant human Growth Differentiation Factor-5(rhGDF-5)をコーティングして製作した.インプラントはTi-6A1-4V合金製,直径3.7mm,骨内長8mmを使用した.rhGDF-5/β-TCP複合体のビーグル犬前頭洞への移植は従来の実験方法に準じた.実験は9群を設定し,インプラントの埋入は前述の移植手術と同様の全身麻酔下で行った. rhGDF-5/β-TCP複合体を移植後4週,8週,12週で洞挙上部内に誘導された骨組織にインプラントを埋入した.インプラント埋入手術は,使用したインプラントのユーザーズマニュアルに準じて行った.超音波発生装置はITO US-700を使用して,出力100mW/cm^2,周波数3.0MHz,パルス幅1.0msec,パルス周期10.0msecの条件で,埋入部に対して毎日10分間,20分間のLIPUs照射を埋入後から1週間行った.インプラント埋入後8週で非脱灰研磨標本を製作した.塩基性フクシン・メチレンブルー重染色による組織観察と画像解析ソフトNIH Image[○!R]1.57にてインプラントの骨接触率を測定した. 実験群のインプラント周囲の骨形成は,対照群のそれに比較して,骨形成の促進を推測する組織像が観察された.rhGDF-5/β-TCP複合体を移植後4週にインプラントを埋入した群において,毎日10分間または20分間のLIPUs照射した実験群が対照群に比較して,骨接触率が高い傾向を示した.すべての対照群と実験群の比較で,インプラント周囲の骨接触率に統計学的有意差を認めなかった.本実験結果に統計学的有意差を認めなかった原因として,超音波照射方法,犬前頭洞の形状,洞内におけるrhGDF-5/β-TCP複合体の分布状態,犬の健康状態などの影響が考えられた.
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