研究概要 |
研究の意義と重要性 日本では自由診療として行われているインプラント治療は,他の補綴治療と比較して治療効果が大きく,患者のQOLの向上に寄与してきたことは間違いない.今後高齢者患者が増加することは自明の理である故に,本治療法の欠点である患者への侵襲を小さくすることと,その治療効果の高いエビデンスが必要なはずである.そこで,本研究は患者・術者にとってインプラント治療のエビデンスを構築するために前向き研究によって,超高齢社会に対応したインプラント治療ガイドラインを確立することを目的に定めた. 研究内容と結果 被験者は下顎無歯顎インプラントオーバーデンチャー装着者10名(以下IOD群)と下顎全部床義歯装着者35名とした.まず,IOD群と下顎全部床義歯装着者35名を各種機能評価表((1)義歯評価表,(2)咀嚼機能評価表,(3)満足度評価表)を用いて比較検討を行った.次に,両群間で年齢,性別,現義歯使用年数,顎堤吸収の状態をマッチング因子としてマッチングテストを行い,抽出した全部床義歯装着者10名(以下CD群)とIOD群を新たな被験者とした.顎堤状態は,顎堤スコア算出表を用いて顎堤の断面形態,弾性,高さ,対向関係をスコア化した.その後,IOD群とCD群で同様に比較した. 本研究において,全部床義歯と磁性バーアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーの治療効果の判定に,顎堤状態を加味したマッチングテストの有用性が示唆された. また,全部床義歯と比較して,磁性バーアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーの治療効果が高いことが明らかとなった.
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