研究概要 |
我々はガラスファイバー強化型コンポジットレジン(以下GFRC)のクラスプへの臨床応用の可能性を,真直型クラスプ試料の定変位疲労試験あるいは板状試料の4点曲げ疲労試験から検討してきた.その結果,GFRCは金銀パラジウム合金と比較しても優れた疲労耐久性を有するものの,疲労試験後の試料表面にはガラスファイバーの剥離やマトリックスレジンの脱落,そして亀裂の発生が認められた. そこでさらに,審美性の向上,並びにガラスファイバーの剥離やマトリックスレジンの脱落の防止を目的として,GFRC製クラスプにレジンコーティングを施し,サーマルサイクリング試験と定変位疲労試験から,レジンコーティングの有用性を評価した. その結果,口腔内での3ケ月間の使用を想定したサーマルサイクリング試験と定変位疲労試験を実施したところ,コーティング材であるサーフィスコートの脱落や亀裂の発生が認められた.しかし,定変位試験後0.25mmのアンダーカットを変位させる荷重の変化も認められず,3ケ月後のリコール時にクラスプを観察し,サーフィスコートの脱落や亀裂が観察されたクラスプについては再塗布すれば,十分臨床応用可能であると考えられた.
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