研究概要 |
Empress2システムでは,コア材を圧入してコーピングを製作し,レイヤリング法により陶材を繰り返し焼成する.しかしこれらの熱処理がレジンセメントとの接着性に与える影響は明らかにされていない.そこで平成18年度は,圧入後の繰り返し焼成がEmpress2コア材とレジンセメントとの接着性に与える影響をマイクロテンサイル接着試験から評価した.その結果,接着強さの平均値は未焼成では41.5MPa(SD:13.0),4回焼成した場合では39.1MPa(SD:14.1)が得られ,接着強さの平均値には圧入後の繰り返し焼成は影響を与えないことが分かった.しかし,接着強さをワイブル統計処理した結果,4回焼成した場合では混合モードワイブル分布が得られ,コア材の繰り返し焼成はワイブル分布の低強度側でレジンセメントとの接着性に影響を与えることが分かった. 脆性モードで研削されたオールセラミック修復物では,研削に起因する損傷が修復物の強さや疲労寿命に大きな影響を与えると考えられている.特に修復物内面は支台歯とレジンセメントで接着されるため,セラミックス/レジンセメント接着システムの破壊プロセスの解明には,修復物内面の研削損傷の評価は不可欠である.しかしオールセラミック修復物をCAD/CAMを用いて研削加工した場合の損傷は明らかにされていない.そこで平成19年度では,Bonded-interface sectioning techniqueを用いて長石系陶材ブロックからCAD/CAMを用いて研削加工したオールセラミッククラウンの表層下に発生する損傷の直接観察を試みた.その結果,咬頭斜面,軸壁豊隆部,歯頸部,そしてクラウン内面に深さが100〜200μのMedian亀裂が発生していることが分かった.
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