研究概要 |
生体内の血管束周囲に骨組織再生に必要な人工材料を埋入し、人工の血管柄付骨組織の再生を行う方法を用い,また,実際の臨床応用の可能性を検討するため,大型動物を用いて、実際に再生された血管柄付骨組織を同じ動物内で顎骨に移植し,その骨の安定性,生着について検討することを目的とし、研究を行った. 1.広背動静脈のAV shunt loopを用いてβ-TCPを足場とする血管柄付き再生骨の作成 β-TCPを埋入させるchamber(研究代表者作成)の作成し、成犬ビーグル犬,オス16頭を用いて以下の実験を行った.再生骨を観察する群:8頭とその再生骨を用いて顎骨再生を行う群8頭に分けた.また,再生骨を観察する群:8頭のうちPRP投与群:4頭と非投与群:4頭とした.さらに,再生骨を用いて顎骨再生を行う群8頭においてもPRP投与群と非投与群に同様に行った. 2.再生骨の解析 1.8頭において6か月後に安楽死させ両側の広背筋下よりchamberを摘出した.この時,肩甲下動静脈を腋下動静脈まで剥離し,chamberとともに摘出した. 2.chamber摘出と同時に胸背動静脈の切断端よりカテーテルを挿入し,血管造影剤(5%ゼラチン含有60%硫酸バッリユム,ウログラフィン)を投与し,軟エックス線撮影にて再生骨内の血管新生を確認. 3.軟エックス線撮影後,同検体を脱灰H-E染色標本を作製し、組織学的検索を行った. その結果、各群において埋入したβ-TCPは吸収を認め、繊維様細胞の置換が認められた. 5.再生骨内の新生血管の面積および再生骨組織量(V)をPRP投与群および非投与群にて比較検討を行い今後ささらに置換された繊維様細胞に対する免疫組織化学的検索を行い、骨誘導細胞の有無、および各分における骨形性能の違いについて検討い、形成された再生骨は移植可能な血管柄付き遊離骨であった. 3.血管柄付きの再生骨のビーグル犬の下顎骨への移植 ビーグル犬の下顎骨への再生骨の移植を4例において行ったが全例において血管吻合時に血栓を生じ生着は認められなかった.
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