研究分担者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90209916)
笠岡 敏 広島国際大学, 薬学部, 助手 (90338690)
有吉 靖則 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70330066)
木村 吉宏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (00351388)
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研究概要 |
臨床的研究として,18F-BPA PETの所見ならびに臨床所見に加えて,画像診断による治療効果の判定を行った.MRIにおいては,腫瘍の縮小に加え,T2強調像における信号強度の低下,造影像における信号増強効果の低下が認められた.BNCTにおいては,治療後,口腔粘膜炎,軽度の倦怠感ならびに脱毛が見られたが,重篤な副作用は認められず,良好な治療効果を得ることができた. 基礎的研究としては,細胞株(SAS,OSC-19:共に口腔扁平上皮癌株)を用いて,細鉋のトランスフェリンレセプターの発現の有無に関して検討を行った.その結果,SAS細胞の細胞表面にトランスフェリンレセプターの発現が確認された.さらに,細胞への10Bの取り込み量を向上させるために,BSHをLiposomeで包埋したもの(Liposome-BSH),ポリエチレングリコールで修飾したLiposomeで包埋したもの(PBG-Liposome-BSH)およびPEG-Liposomeにトランスフェリンを結合したものにBSHを包埋したもの(TF-PEG-Liposome-BSH)を作成し,癌細胞への取り込み量の違いについて検討した。TF-PEG-Liposomeでは他の化合物に比べ細胞内への取り込みが増加した。細胞内の濃度維持については,ホウ素化合物を除去した後の細胞内濃度はTF-PEG-Liposome-BSHが他の化合物に比べ長時間滞在することが示された。過剰のTFによりSASへのTF-PEG-Liposome-BSHの取り込みが阻害された。また担癌マウスにおける実験により腫瘍への10B取り込みの増加が確認された。 以上より,腫瘍細胞に過剰に発現するTFをターゲットとすることで腫瘍細胞内への10B濃度の取り込み増加と濃度維持について優れた効果が示され将来の臨床においても有用なキャリアーとなりうることが示唆された。
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