研究課題
基盤研究(C)
神経挫滅や神経切断によって生じるallodyniaやhyperalgesia(痛覚過敏)、いわゆる神経因性疼痛の発症に炎症性サイトカインであるIL-1βやTNFαが関与していることが報告されている。そこで本研究では、顎顔面領域における神経因性疼痛の実験的発症モデルを作製し、モデルの妥当性を検証するとともに、本モデルを用いて神経因性疼痛の発症における炎症性サイトカインの役割を明らかにすることを目的とした。ラット眼窩下神経絞扼モデルを作製し、三叉神経脊髄路核の星状膠細胞と小膠細胞に着目し、神経因性慢性疼痛の発現機序について検索した。その結果、以下の所見が明らかとなった。1)眼窩下神経絞扼によりwhisker padおよびmasseterにおいて神経因性疼痛が処置後3-7日で発現し、本モデルが神経因性疼痛モデルとして有効であることが示された、2)眼窩下神経絞扼モデルラットの三叉神経脊髄路核において星状膠細胞と小膠細胞の活性化が確認された、3)眼窩下神経を絞扼後、三叉神経脊髄路核のIL-1βの発現亢進、星状膠細胞におけるIL-1β発現が認められた。また、IL-1β拮抗薬投与によりwhisker padおよびmasseterでの神経因性疼痛の抑制が認められた、4)眼窩下神経絞扼後、三叉神経脊髄路核におけるP2X_7受容体の発現亢進と小膠細胞でのP2X_7発現が認められた、5)P2X_7受容体特異的作動薬の髄膜下投与により、機械的痛覚過敏の亢進と三叉神経脊髄路核におけるP2X_7受容体発現の亢進が認められた、6)Gap junction遮断薬を投与すると神経因性疼痛が抑制され、星状膠細胞と小膠細胞の発現と活性の抑制、IL-1βとP2X_7の発現抑制が確認された。以上の結果から、眼窩下神経絞扼後、gap junctionを介して三叉神経脊髄路核における星状膠細胞の活性化とIL-1βの産生が生じることが示唆された。また、三叉神経脊髄路核の小膠細胞ではP2X_7は強発現し、疼痛発現に関与していることが示唆された。
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