研究課題
基盤研究(C)
矯正歯科領域において歯の移動のコントロールできることは治療期間の短縮に役立つ。我々は生体反応、特に骨吸収を行う破骨細胞の発現および機能をコントロールすることで歯の移動をコントロールできると考えている。破骨細胞は、M-CSF存在下でRANKLあるいはTNF-αによって形成される。本研究では、まず、破骨細胞形成に働いているM-CSFをブロックすることでTNF-αによる破骨細胞形成を効果的に抑制することを確認した。このことからTNF-αが関与する矯正学的歯の移動は、抗c-fms抗体で、効果的にコントロールできる可能性が示唆されたことから、野生型マウス(Wild type、C57BL6/J)の8週齢雄の上顎切歯と左側第一臼歯間に10gfのNiTiクローズドコイルスプリングを装着し、両側第一臼歯を近心移動した。歯の移動開始時から毎日、左側第一大臼歯頬側皮下に抗c-fms抗体を注射したところマウスの歯の移動は、有意に抑制された。前年度までにこれらのことを確認した。本年度は、まず、歯の移動開始時に左側第一大臼歯頬側皮下に抗c-fms抗体を注射する。抗体の注射量をそれぞれのグループで0、10、50、100および500μgとわけて、移動量の違いを検討した。50μg以上で歯の移動が抑制された。次に副作用の影響を検討した。抗c-fms抗体で反対側歯牙の破骨細胞数はコントロールと比較して変化がなかったことから副作用も少ないことがわかった。さらに、矯正力を加えることによっての歯根吸収に関しても抗c-fms抗体で抑制できることもわかった。
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