研究概要 |
抗菌剤として(+)-Catechin, (-)-epicatechin(EC), (-)-epigallo-catechin(EGC), (-)-epicatechin gallate(ECg), (-)-epigallocatechin gallate(EGCg)の5種類の各粉末を4-META/MMA-TBBレンジの粉末に総合配合比が10%(wt/wt)になるようにミキサー(イワタニ・IFM-503M)で混合し、一定サイズ(厚さ2mm,直径8mm)のサンプル・ディスクを作製した。このサンプル・ディスクを用いて抗菌試験を行った。細菌は、う蝕に関与が認められているStreptpcoccus mutans NCTC10449を用いた。サンプル・ディスクに付着した細菌量とカテキンが除放された溶液中の細菌量をコロニーカウントする方法で測定した結果、サンプル・ディスクへの付着量はコントロールに対して(+)-Catechin, EGC, ECg, EGCgは有意に減少した。しかし、ECだけはコントロールに比べても有意に付着量が多かった。溶液に除放されたカテキンの抗菌効果については、コントロールに対して全てのカテキン類配合レジンサンプルで有意に減少した。特に、EGCgとECgは大きく減少した。 次に各カテキン類配合レジンの接着強さは、被着体として矯正治療のために抜去されたヒト小臼歯(倫理委員会承認番号:EC03-019)を用い、圧縮せん断接着試験を行った。その結果、EGCgとECg配合レジンの接着強さがコントロールに比べて劣ることがわかったが、10MPa以上の接着力は維持された。 以上、カンテキンにより抗菌作用がありかつ細胞毒性のない新規な矯正用ボンディング材を作製することが可能であると示唆した。
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