研究課題
基盤研究(C)
レム睡眠中にホメオスタシスは正常な機能を失い、自律神経系の大きな変動が生じるが、この自律神経系の変動がどのようなメカニズムによって駆動されているのか、またそれがどのような生理的役割をもつのかについては、ほとんどわかっていない。昨年度は、おもに、脳幹のアセチルコリン作動性ニューロンと血圧調節との関係を調べた。今年度は、血圧調節における視床下部と脳幹との関係を明らかにするため、以下の実験を行った。1.視床下部において、電気刺激による血圧に対する効果を調べた。ガラス微小管につめたカーボンファイバー電極(φ10μm)を油圧マニピュレーターを用いて駆動し、200〜400μmおきに電気刺激(50Hz,5秒)を与えた。その結果、外側視床下部(lateral hypothalamus:LHA)とその周辺への刺激により、血圧上昇が引き起こされることが明らかになった。また、その後方では、血圧の下降が誘発された。2.無麻酔で頭部のみを固定したラットにおいて、血圧を記録しながらLHAの神経活動を記録した。その結果、LHAのニューロンの一群は、レム睡眠時の血圧変動に相関して相同的な活動上昇を示すことが明らかになった。3.昨年度に、脳幹の外背側被蓋核(laterodorsal tegmental nucleus:LDT)のアセチルコリン作動性ニューロンの一群が、レム睡眠時の血圧変動に相関して相同的な活動上昇を示すことから、LDTのアセチルコリン作動性ニューロンもレム睡眠中の血圧変動に関与することが明らかになっていた。そこで本研究では、脳幹と視床下部がレム睡眠中の血圧変動に関してどのような関係にあるかを明らかにするため、LDTのアセチルコリン作動性ニューロンとLHAニューロンの同時記録を行ったところ、レム睡眠中の血圧変動字には、LDTのニューロンがLHAのニューロンに先行して活動上昇することが明らかになった。この結果は、レム睡眠中の血圧上昇には、脳幹のアセチルコリン作動性ニューロンからLHAニューロンへの興奮性入力が重要な役割を果たしていることを示唆する。
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