研究課題
基盤研究(C)
陸棲ラン藻Nostoc communen(和名:イシクラゲ)が示す極限的な乾燥耐性の分子機構を解明するために、本研究課題では細胞内で働いている要素に着目して研究した。本研究経費によってエバポレイティブ光散乱検出器を導入することのよってトレハロースを定量できるようにした。乾燥したイシクラゲはトレハロースを蓄積していたが、吸水することによってトレハロース量は低下し、完全に水和したコロニーでは検出されなかった。コロニーの水分含量に応答してトレハロース量が調節されていることを示す。乾燥ストレスによってトレハロースが蓄積される機構を明らかにするために、トレハロース合成酵素およびトレハロース加水分解酵素(トレハラーゼ)の活性制御を解析した。イシクラゲにおいてトレハロース合成酵素遺伝子treZ、treY、およびトレハラーゼ遺伝子treHがひとつの転写単位を構成していた。これらの遺伝子の転写産物量は乾燥ストレス処理によって大きく変化することはなく、転写レベルの制御ではないことが示された。生化学的解析を行なったところ、トレハロース合成酵素は反応溶液中の塩濃度に影響されず高い活性を示したが、トレハラーゼは塩濃度の上昇に伴って活性が阻害されることが分かった。トレハラーゼがトレハロース量の調節において鍵酵素として働いており、乾燥ストレス下で活性が阻害され、トレハロースの合成量が相対的に高くなることが重要であることを示唆する。細胞外基質に存在する可溶性タンパク質を解析した。β-グルコシダーゼを精製しアミノ末端配列解析を行なったところ、ファシクリンタンパク質と相同性を示すことが分かった。イシクラゲに特徴的なタンパク質として知られているWspAを精製し酵素活性を調べたところβ-ガラクトシダーゼ活性を示すことが分かった。これらのタンパク質は細胞外基質において重要な役割をもつと考えられる。
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