研究課題
基盤研究(C)
平成18年5月に、科学研究費補助金研究班員を中心にバイオエアロゾル研究会を組織し月に一度の割合で研究会を開催し、内外の研究状況の調査報告や班員各自の研究経過・計画の紹介を行い、特定領域研究の申請に向けて研究課題の選定と絞込みを行った。平成18年8月には、班員の岩坂泰信、小林史尚、小島知子の3名と研究協力者1名が中国の敦煙市において、係留気球を使って上空のバイオエアロゾル採集実験を行った。この気球実験は、これまで黄砂観測で培われてきた技術を元に、サンプリング手法、試料回収手続き、現地での試料の処理法などについて試行実験したものである。試行観測は所期の目的を達成し・サンプリング方法をはじめ上記の点について有効な技術的試料・情報・経験を得ることが出来た。また、試料解析の結果、培養で20菌株が単離され、形態学的・生理性状学的検討の結果、グラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌に大別され、地上50-100mと10mで単離された7菌株の16SrDNAは100%一致した。このことは、大気バイオエアロゾルが接地境界層内でよく拡散していることを示唆している。16SrDNAおよび18SrDNAの部分塩基配列の相同性検索を行った結果、上空50-100mおよび地上付近10mで見られたバイオエアロゾルにはBacillus cereus、その他が同定された。平成18年12月には、名古屋で全国の研究者に呼びかけてバイオエアロゾルシンポジュームを開催した。本研究班のメンバーが活動報告を行うと同時に、宇宙生物・生命、極限微生物、公衆衛生・保健科学などの分野から専門家を招聘し、大気バイオエアロゾル科学の今後の展望を討論した。研究会では、これまでの活動を総括し、大気バイオエアロゾル科学がヨーロッパやアメリカで急速に発展しており、我が国でも急き本学的な発展をはかるべきであるとの結論を得た。この結論をうけて、本研究班員が中心となって科学研究費補助金特定領域の設置にむけて科学研究費補助金の申請を行うこととした。
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