研究概要 |
○パルス超音波による遺伝子導入の実証 従来,連続波もしくは波数の多いバースト波を用いて行われてきたソノポレーションが,波数3波程度の短い超音波パルスを1回照射するだけでも実現できることを,GFP遺伝子の導入と発現のタイムラプス観察を通じて実証した.しかしその導入効率は低く,パルス超音波が撹拌効果を持たないことが原因の一つと考えられた ○遺伝子付着気泡の作成 撹拌効果を持たないペルス超音波でも効率が高いソノポレーションを実現するための方法として,細胞に穿孔をもたらす微小気泡自体に遺伝子を付着させる方法について検討した.その結果,アルブミンとGFP遺伝子を混入した生理食塩水を撹拌することで,遺伝子が付着した直径数ミクロンの微小気泡を再現性良く作成できることを確認した. ○導入効率の向上 上記で作成した気泡を用いて,遺伝子導入効率の向上効果を調べた.GFT遺伝子を培養液中に懸濁させた条件と気泡に付着させた条件で発現効率を調べた結果,気泡に付着させることによって導入効率が,培養駅に懸濁させた場合の約4倍に向上することを確認した. ○気泡の種類による膜損傷の違い 種々の気泡を用いてパルス超音波を用いたソノポレーションを行い,細胞の損傷率と修復率が気泡の種類によってどのように変化をするかを調べた.その結果,気泡の種類に依存して修復率が60%から100%近くまで変化することが確認され,ソノポレーションに最適な気泡の開発の可能性が示された.
|