研究概要 |
腰痛の発症率は非常に高く,腰痛症患者に対し様々な治療が行われている中,近年「腰椎安定性」が腰痛マネージメントに関与する因子として注目されている.腰椎安定化には,体幹深部に位置し腰椎に直接付着する筋(ローカル筋)の機能が重要と言われており,臨床においてもローカル筋の神経・筋協調性を再教育する「腰部安定化トレーニング」が盛んに行われている.しかし,生体においてローカル筋機能が動的な腰椎挙動を制御し得るか否かを検討した研究は少ない.そこで本研究は,ローカル筋機能が腰椎の動的安定性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.8名の健常成人男性(年齢23〜25歳)に対し,腋窩支持でのぶら下がり状態で腰部・下肢に屈曲一伸展方向への振り子運動を行わせた際の矢状面腰椎挙動及び体幹筋活動を測定した.腰椎挙動計測には第12胸椎(T),第3腰椎(L),第1仙椎(S)棘突起上の皮膚表面に貼付した磁気式三次元位置センサーを用いた.体幹筋活動の測定には筋電図を使用し,腹直筋,外腹斜筋,脊柱起立筋には表面電極,腹横筋,多裂筋にはワイヤ電極を用いた.試技は体幹を弛緩させる「Relax条件」,下腹部を引き込ませる「Hollowing条件」,腹部全体の筋収縮を意識させる「Bracing条件」,股関節を軽度屈曲させる「HipFlex条件」の4条件であり,試技間においてT-L,L-S,T-Sの角度変化及び各筋の活動量を比較した.さらに,試技間の腰椎挙動の変化に最も関与している筋を検討した. 2008年3月現在、実験を終了し、腰椎ローカル筋の体幹安定性に及ぼす影響を評価すべく、データの解析を行っている。
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