研究課題/領域番号 |
18651041
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境技術・環境材料
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ヒ素 / 無毒化 / アルセノシュガー / メチル化 / クロレラ / 環境ヒ素汚染 / 慢性ヒ素中毒 / 自然還元 |
研究概要 |
今日、自然由来の無機ヒ素による井戸水汚染から約8000万にヒ素による健康被害がアジアと中南米諸国を中心に発生しており、その慢性ヒ素中毒の予防対策と根絶は重要な社会問題である。本研究では、慢性ヒ素中毒の発生原因の井戸水中ヒ素濃度に対応させた0.2-1ppmの無機ヒ素の無毒化に関する基礎研究を実施した。この研究では無機ヒ素の無毒化ヒ素はアルセノシュガー(AsS)を想定した。その背景は、このヒ素は海藻中に高含有するもので、ヒトは日常的に摂取しているが健康障害の報告は認められていない現実を科学的に参考とした。研究成果:Chlorella vulgarisを用いて無機ヒ素をAsSに生物変換する無毒化方法を検討した。Chlorella vulgarisによる独立栄養および混合栄養条件でのヒ素のアルセノシュガーへのバイオトランスフォーメーションと無毒化を検討した。細胞内と培地中のヒ素の形態分析はHPLC-ICP-MSで行なった。培地中のリン酸濃度が低いと、藻体へのヒ素の取込を促進させた。培地中のリン酸濃度が枯渇(<5mg/l)に減少すると、細胞内のヒ素とメチル化された培地中のヒ素は細胞の増殖と共に増加した。混合栄養条件でのアルセノシュガーの排出は独立栄養条件より高くなった。細胞中のヒ素濃度は培地中のグルコース濃度の増加共に減少した。一方、培地中のメチル化されたヒ素は培地中のリン酸濃度が低くても、グルコース濃度の増加と共に増大した。藻体をヒ酸にさらした時、(未確認アルセノシュガー;UN8)が培地中の主要な代謝産物であった。少量のUN8は細胞中で検出されたが、主要な代謝産物はUN1であった。これらの結果はクロレラブルガリスは培地中に排出されたUN8を再取込しなかったことを示している。クロレラブルガリスによるヒ酸の無毒化はバイオメチレーションと培地へのUN8排出で恐らく達成された。 C.vulgarisが排出するAsSは将来的に無機ヒ素の無毒化システムに寄与することを期待している。
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