当初の計画通り11月1〜9日にBibliotheque nationale de France(Paris)でベリオ将来による敦煌文書のオリジナル文献に対する調査を行った。前年度の調査を通じて書誌形態とその内容に関して深い関連が認められることが明らかになったことにより、冊子本と疑經との関係を見るために『仏説天地八陽神呪経』のBNF所蔵全写本(昨年調査済みのP.3915を除く以下8種:P.2098、P.2181、P.3759、P.3897、P.3924、P.4571、P.5579、P.6016)を対象とし、影印資料では読み取れない紙質・墨の色・紙の貼り合わせの状態・貼り合わせ面の書写文字の有無・朱入れ状況・修正情報・資料保存状況などのデータを記録した。その中で、とりわけP.3759は成書時期の疑経受容状況を顕著に示す典型としてとらえられ、この資料について、参与している研究例会にて報告を行い、論考をまとめ公表した。 昨年度の調査結果に関しては、「BL調査報告-IDP公開資料とオリジナル調査の意義について」と題して報告を公開した。また、2006年9月に開催された南京師範大学、京都大学人文科学研究所などの連合主催による"転型期的敦煌学:継承与発展"国際学術研討会で「関於両種《佛説八陽神呪経》P.3915」の論題で行った口頭発表に関しても論文としてまとめ公表した。
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