研究課題/領域番号 |
18652041
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小池 一郎 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (30148374)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2008年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 中国語学 / 元代口語 / 古代漢語文法 / 近代漢語文法 / 元刻文字資料 / 老乞大 / 将の用法 / 動詞連続 / 元雑劇 / 禅語録 / 元代 / 口語文法 / 元刻 / 古代漢語 / 近代漢語 / 元朝秘史 |
研究概要 |
今年度は主として、元代漢語『老乞大』の日本語訳および注釈の作業を進めつつ、語彙の先行用例、同時代の用例の調査をし、また語法の通時的・共時的両方面の研究を行った。 元代口語の語彙については、すでに五十種の元代語彙・語法に関わる辞書を入手した。そこに蓄積されている膨大な研究成果を活用するには、全てを横断する語彙索引が必要であると考え、今年度中に基本的な作成方針を策定し、試験的に数種の辞書のデータ入力を終えた。更に作業を続けたい。 語法研究では、元代漢語『老乞大』の「将」の用法に注目し、明代および清代『老乞大』と比較しつつ調査分析を行って来た。元代の「将」の用法は、先行研究では、「把」と同用法の「将」、および前後の動詞の繋ぎとしての「将」がそれぞれ別個のものとして扱われてきた。私は元代漢語『老乞大』中の百余りの「将」は、本来の意味である「拿」の用法を軸にして、全て同一の範疇に入るのではないか、と考えるに到った。その際に、各方面への意味の敷術が、如何なる内的要因によって生じたかを、元代以前の用法をも視野に入れつつ、解明して行くのが今後の課題である。 「将」の研究を進める過程で私は、『老乞大』の中で頻繁に現れる動詞連続の事象が、元代口語文法の特徴と本質的なところで関わるのではないか、と考え始めている。これはまた、元代口語文法上の重要かつ難解な語である「著」「得」などの語法とも密接に繋がる問題であり、ひいては元代口語文法の過渡的な性格を示すものではないかと推測している。 今後、今まで善本を収集し読解を進めてきた、元代禅関係の文献、元典章等の政治的文書、詩詞雑劇等の文学作品などを中心に、研究を飛躍的に進展させ、元代口語文法の中枢に迫って行きたい。
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