「A.昨年度に引き続き、日本のろう・難聴学生が現在受けている英語教育の実態と問題点を明らかにするために、現場の教員・学生にインタビューを行う」については、ろう教育研究者から紹介と通訳の協力を得て、海外留学を目指すろう者等にインタビューを行うことができた。しかし、本務校での職務に時間をとられ、インタビューの分量は予定を大幅に下回ってしまった。これまでの調査だけでも、学習者の過去の英語学習体験内容はさまざまであり、英語学習教材に対する要望も多岐にわたることが確認された。当初の予想どおり、単一の教材ですべてのろう・難聴英語学習者に対応するのではなく、いくつかの学習者のタイプに応じて数種類の教材を作り分けていく必要があることが確認できた。 「B.日本のろう・難聴学生が現在受けている英語教育の実態と問題点を明らかにし、海外のろう・難聴学生に対する外国語教育の先進的な試みを探るための文献調査を引き続き行う」については昨年度収集した文献の読み込みを行った。 「C.日本のろう・難聴学生に適した英語教授法と教材の構想を作り上げる」については、本研究専用にeラーニングシステム、moodleサーバを立て、さらにこれと連動する動画ストリーミングサーバ設置の準備をほぼ完了した。サーバ設置後、研究室の電源増強工事が必要なことがわかったため、本格運用は平成20年度中に工事が終わり次第開始する。運用開始後は、これまで本研究に協力してくれたろう・難聴者を本サーバに登録し、さらに新たな協力者を求めていく。本サーバは、試作教材の公開、協力者による教材評価とそれに基づく教材改良、英語教育に対する意見・要望の集約、教員間の教材共有等の活動を行うための場所として今後継続的に活用していく。本研究によって、このような活動を可能にするための準備がほぼ完了した。
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