研究課題/領域番号 |
18653024
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済政策
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高阪 章 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (00205329)
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研究分担者 |
小川 一夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90160746)
塩谷 雅弘 大阪国際大学, ビジネス学部・経済ファイナンス学科, 准教授 (70340867)
地主 敏樹 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60171089)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 経済政策 / グローバル・インバランス / バランスシート効果 / 金融統合化 / 資産価格変動 |
研究概要 |
この年度は、東アジア・欧州への出張機会に、ここまでに蓄積した知見をベースに、関係研究機関を訪問し、意見交換を通じて、世界規模で各国・地域にみられる各部門のバランス・シートの構造変化を前提とするとき、グローバル・インバランスは今後どのようなダイナミズムを見せるのか、そして現在のインバランスを解消するためには、個別国・地域およびグローバルに、どのような政策戦略・制度設計があり得るのかを考察した。平行して、国内研究会では、キー・プレイヤーである、米国、EU、日本、東アジアの金融資本市場システムとグローバル・インバランスの長期的動向をとらえるべく、検討を行った。その際、2007年に始まったグローバル危機は予想を超えた負のスピルオーバー効果をもち、グローバル・インバランス問題の影を薄くした観すらある。というのも、米国のみが資本フロー逆転・ドル暴落にさらされるという当初の懸念とは異なり、世界同時不況によって資本は行き場を失い、市場自体、バランスシート自体が収縮するという意外な展開を見せているためである。 バランスシートの収縮による強制的なインバランス解消が著しいのは拡大EUの周辺国であり、10年前のアジア金融危機に匹敵するものとなるものと思われる。東アジアとの違いは、もともと、国内金融深化の程度が低く、貯蓄率も低位であり、そのためにEU先進国への資本依存が大きいことであるが、それが今後の各国の景気回復過程、ひいては発展パターンにどのような影響を与えるのかについては予断を許さない。このような展開をみるとき、金融発展パターンにおける、銀行型か市場型かという区別は無意味であり、バランスシート構造はリスク・リターンの質のみがrelevantなのであって、市場構造の歴史的形成バターンに唯一のベスト・プラクティスなど存在しないことが明らかになったと思われる。このような観点は、次の研究課題の視角を形作るものと考えられ、その意味で、この萌芽研究プロジェクトは次課題への橋渡しをすることができたものと思われる。
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