研究課題/領域番号 |
18653051
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会福祉学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
黒田 研二 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (70144491)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 認知症 / 異文化配慮 / 母国語 / 回想法 / 在日コリアン |
研究概要 |
認知症をもつ在日コリアン高齢者の介護を行っている特別養護老人ホームにおいて、彼らが生きてきた異文化に配慮した生活支援(母国語を取り入れた回想法)を提供することで、認知症をもちながらも、肯定的な感情反応が増加し、入居者同士の交流やコミュニケーションにおいてもより安定した関係が強化されるという仮説を検証することを研究目的とした。具体的には、異文化をもつ在日コリアン認知症高齢者をより理解できるコミュニケーションのありかたについて、母国語を用いた回想法を実施し、その会話内容を分析することで考察した。会話は、在日コリアン向けの特別養護老人ホームに入居中で中等度又は重度の認知症をもつバイリンガル高齢者4人(すべて女性、平均88歳)の協力のもとに行った。母国語と日本語の場面において、個人回想法による会話内容や感情表出に差が生じるかという視点から両場面の比較分析を行った。その結果、重度の認知症高齢者であってもバイリンガル話者の特徴である自然なコード切り替え(Code-Switching;CS)が見られた。すなわち、過去の学習や経験により蓄積された母国の言語形式を使う機能が残存能力として潜在していることが明らかになった。なお、オーストラリア認知症ケア開発センターにおいて作成されたERiC感情反応評価尺度を用いて観察した結果、日本語の場面より母国語の場面において肯定的感情の豊かさが観察された。以上より、バイリンガル話者である在日コリアン認知症高齢者一世たちとの母国語を用いた回想法による会話は、バイリンガル話者の特徴を踏まえた一つの生活支援になると考えられる。なお、初期の研究計画では、個人回想法と合わせてグループ回想法を行う予定であったが、グループ回想法による分析は今後の課題として残った。
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