研究概要 |
本研究の目的は,軽度発達障害児・者を対象に視覚支援プログラムを応用した歯科保健指導用素材を開発・試行することである. 1.視覚支援の現状調査:248の個人または診療施設に対してアンケートを実施し,53の有効回答(21.4%)を得た.視覚支援が実施されていたのは,200人近くに実施している診療施設もあったが,多くは数人から30人程度であった.支援対象の障害は,自閉症が多く,精神発達遅滞は少なかった.年齢的には,自閉症では就学前と小学生に多く,精神発達遅滞では就学前児への使用が少なく,20歳以上での使用の割合が高かった.視覚素材の種類としては,絵と写真がほぼ同数で,また文字の付与の有無も同数であった.提示方法としては,1枚ずつ提示する方法が55%,縦や横に並べる方法が38%,ツールと実物を並べて提示する方法が28%であった.視覚支援による歯科適応状態の変化としては,60%が効果ありと答えていた.使用されていた視覚支援ツールの提供は28件あった. 2.視覚支援・コミュニケーションツールの開発:支援ツールの種類を大幅に増やすべく,歯科治療の場面だけでなく,歯科材料などの視覚支援素材も作製した.対象によっては,より具体的に示すほうがよかったり,抽象的であるほうがよかったりするため,両方への対応をとった.より抽象的なピクトグラムや歯磨き指導用の素材も多くのバリエーションを持たせて作製した.これらの素材をデータベース化し,容易に印刷できるようソフト化したCDを作製した.
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