研究課題/領域番号 |
18654015
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 玄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50118535)
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研究分担者 |
山本 隆夫 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80200814)
菅 幹生 千葉大学, 工学部, 准教授 (00294281)
代田 健二 茨城大学, 理学部, 准教授 (90302322)
久保 雅義 京都大学, 大学院・情報学研究科, 講師 (10273616)
藤原 宏志 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教 (00362583)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | MRE / 逆向題 / 弾性係数 / 粘性係数 / 乳ガン / MRE法 / 数値微分法 / 粘弾性体 |
研究概要 |
医者が、あたかも患者の体内を仮想的に触診することを可能にするようなMRE法とよばれる診断装置が、近年大きな注目を浴びている。これは生体表面に加えた振動で発生した生体内の波を可視化する技術であり、硬いところほど波の速度が大きいことから、硬さが調べられるのではという理屈である。2007年度の研究では、生体内の波からいかにして生体の硬さが求められるかという逆問題について研究することを目的とした。特に生体を粘弾性体と見た場合に、生体の弾性係数と粘性係数を同定する方法について研究することを計画した。また、MRE法の応用として最も期待されているのは初期乳ガンの診断であり、ガン組織と周辺組織とでは、弾性係数・粘性係数(以下未知係数とよぶ)が著しく異なるので、ガン組織と周辺組織の境界では未知係数は不連続に近い変化があり得ることも考慮する必要がある。 2007年度の研究においては、このような想定をもとに、MRE法で観測される生体内の波(以下観測波とよぶ)より生体組織の未知係数を求めるデータ解析手法を与えた。そのより具体的な内容は次の通りである。即ち、未知係数を予想範囲内で変動させことにより、逆問題に付随する順問題を解いて得られる解(注:物理的には、この解は波を表す)と観測波との適当なノルムに関する残差の極小化を、共役勾配法により実現した。また、数値実験によりその有効性について検討した。その結果今後計算方法に改良を加える必要があるものの、データ解析手法としては有効な方法であることが分かった。この結果は、どのように波が人体表面より励起されてもデータ解析可能な一般的な方法であることに大きな利点がある。これは、臨床検査では人体境界が人により異なり、必ずしもどのような波が人体表面から加振装置により励起されるか分からない状況を考えると、応用上重要な結果であるとおもわれる。
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