研究課題
萌芽研究
数値計算と記号代数計算の双方を組合せる融合計算が「計算の壁を破る」可能性を持つものとして期待されていますが、個々の具体的な問題に対する事例研究の域をでていません。本研究では、有効な数値数式の融合をシステマチックに行える戦略・理論を構築することを最終的な目標とし、そのための第1歩として、『多項式の根、もしくは、連立代数方程式の解の近似を利用した計算の効率化』という枠の下で、2種類の近似値、「数値的な近似値」と「記号代数的な近似値」の組合せの戦略を構築することを試みています。戦略の構築のための具体的な目標とし、以下を設定していました。(a)2種類の近似の特性を解析し、その用途、効果を明らかにする。(b)計算対象を豊富に用意し、その融合による適用法を個々に構築しその効果を判定する。(c)上記結果を総括し、その中から一般的な適応指針、すなわち、戦略法を確立する。(a)に関しては、記号代数的な近似の構成法であるHensel構成とその実際の数への引き戻しを重点に九州大学のXavier博士ら若手研究者たちと討論を重ねました。(b)では、多項式のガロア群と分解体計算を継続して取り上げ、パリ第6大学のRenault博士との共同研究を行い、異なる複数の近似を用いることで計算の効率化が実現できることを検証し、成果を国際会議で発表しました。また、さらなる結果をまとめ、平成21年度に開催される国際会議に投稿し受理されました。(c)の総括として複数の異なる近似を利用する方式の開発の有効な切り口が本研究を通して得られ、今後より発展させる道筋ができたものと思います。
すべて 2008 2006
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件)
Proceedings of the international symposium on symbolie and algebraic computation
ページ: 247-254
Algorithmic Number Theory, Proceedings of ANTS-VII, Lecture Notes in Computer Science 4076
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