配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2008年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
本研究の目的は可積分保存系(ハミルトン系)の剛性の理解と,その近可積分系への応用にあり,平成20年度は離散ハミルトン系であるシンプレクティック写像のバーコフ標準化の問題を超可積分性の観点から研究した。主たる成果は以下の定理を得たことにある: 「fを不動点の近傍で定義された2n次元の解析的シンプレクティック写像とする。もしその不動点が共鳴度q(0≦q≦n)の不動点であり,fがその近傍でn+q個の関数的に独立な解析的第一積分をもつならば,解析的なシンプレクティック変換によってfはバーコフ標準形に変換される。このときのバーコフ標準形は共鳴項をもたないハミルトニアンHの時間1写像として表され,Hはとくにn-q個の変数の関数になる。」 この結果については,すでに昨年度の研究で,fを時間tについて(周期1の)周期的なハミルトニアンの時間1写像としてとらえ,その時間依存するハミルトニアンのバーコフ標準化の問題に帰着させる証明を行っていた。しかし今回,そのような手法を用いずに直接定理を証明できる簡明な方法を発見し,標準形の形についても明快な理解を得ることができた。さらに,上記の結果は与えられた写像がパラメータに依存し不動点の共鳴度がパラメータとともに変化する場合にも成り立つことを示した。この結果は正しく可積分系のもつ剛性といえるものであろう。また,この結果をオイラーのコマの運動の解析に応用し,特殊な周期運動(剛体の回転)のまわりで(特異点を許す)作用-角変数が導入できることを示した。 以上の成果は,超可積分系の摂動問題の研究を進める上で基礎となる結果と考えられる。
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