研究課題/領域番号 |
18654058
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 量子トンネル / 量子計算 / コヒーレンス / 強磁場 / 超低温 |
研究概要 |
本研究の目的は最も単純な量子キュービットであるS=1/2の単一スピンを用いて、量子トンネル効果を磁場制御し、電子スピンの量子トンネリングにおける核スピンの役割を明らかにする事にある。本年度は、核スピンの偏極をラジオ波で制御した場合のトンネル確率の変化の検証、トンネルギャップが小さな高スピンMn化合物における非断熱遷移の検証、S=1/2基底状態をもつV15スピンクラスターのトンネルギャップの直接測定と、核スピンとの相関を研究した。Mn7核からなる車輪型分子磁石においては、磁場掃引速度を10^4T/s領域にすると磁化の反転率が低下する現象が見いだされた。これは非断熱遷移領域に達したことを示唆する。その一方で、量子振動等は観測されず、デコヒーレンスが強いことが判明した。Mnイオンは比較的大きな核スピンをもつことから、核スピンのゆらぎによる低周波のノイズがこれに寄与していると考えられる。一方ガラスにドープしたCuイオンに関しては、高速掃引領域で反転率が75%程度に低下することが見いだされた。この確率は核スピンを含めたパリティが保存すると考える時に期待される値である。その一方で、中間の掃引速度では反転率が1に近くなり、掃引速度と反転率の関係に非単調性が見いだされたが、この原因は不明である。一方、V15においては、ゼロ磁場のトンネルギャップの大きさがこれまで判っていなかったが、今回超低周波ESRによりその大きさを30 mK程度と決定した。この大きさは核スピンの寄与が無視できないことを示す。
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