研究課題/領域番号 |
18654062
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
芝内 孝禎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00251356)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 積層構造 / 希土類化合物 / 異方的超伝導 / 反強磁性 / 量子臨界点 / エピタキシャル成長 / 薄膜 / 超格子 / 擬ギャップ / 二次元性 |
研究概要 |
本研究め目的は、分子線エピタキシー法(MBE)による重い電子系Ce化合物の薄膜化技術を完成させ、用いた同じ結晶構造を持ちながら重い電子を持たない通常金属であるLa系化合物との積層構造を作製し、重い電子を擬2次元的に閉じ込めた系を人工的に作り出すこと、およびこのような系での物性測定により、低次元強相関電子系の理解へとつなげていくことである。 本研究の成果としては、まず、薄膜成長装置であるMBEシステムを用い、CeCoIn5超伝導体のc軸配向薄膜の作製に成功し、2Kにおいて超伝導転移を確認した。抵抗率の温度依存性および上部臨界磁場の温度依存性はバルク単結晶のものとほぼ一致している。次に、反強磁性重い電子系であるCeIn3薄膜の成長を行い、反射電子線高速回折(RHEED)にストリークがみられるエピタキシャル成長に成功した。X線回折による逆格子マッピング測定を行い、CeIn3薄膜が基板面方向にも良く配向した単結晶状の薄膜であることを確認した。電気抵抗率測定の結果はバルク単結晶の結果をほぼ再現し、10Kに反強磁性転移を確認した。 さらに、通常金属LaIn3についてもエピタキシャル成長に成功し、これらを組み合わせてCeIn3とLaIn3の積層構造をもつエピタキシャル人工超格子の作製に成功した。電気抵抗測定の結果から、CeIn3層の厚みを少なくするにつれて反強磁性温度が低下していくことが明らかになり、2次元化による反強磁性転移の抑制に世界で初めて成功した。 以上により、重い電子系を2次元に閉じ込めることにより、反強磁性が抑えられ、量子臨界点へ近づけることができることを実験的に示すことができた。
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