研究概要 |
本研究は,チタンサファイアレーザーの第二,及び第三高調波を励起光源として用いることにより,非同軸型光パラメトリック増幅器(NOPA)をシグナル発振させた後にパルス圧縮を行い,360〜750nmにおいて20フェムト秒以下の光パルスを発生させると同時に,THG-NOPAのアイドラー光をパルス圧縮し,630〜1030nmにおいても同様に20フェムト秒以下の光パルスを発生させる光源を開発することを目標としている.そしてこの新規光源を用いて,光合成のごく初期過程において最も重要,かつ興味深い点である,カロテノイドからクロロフィルへの高効率,かつ超高速エネルギー伝達機構を解明することを目指している. 昨年までの試作したTHG-NOPAにおいて問題となっていたこととして,NOPAのポンプ光であるチタンサファイアレーザーの第三高調波の出力が弱く,また安定性が低いということがあった.そのため,BBO結晶を用いた同軸型のタイムプレート方式を採用する方法にデザインを変更した.その結果,上述の問題を改善することができた.一方,これまでに開発を完了していた甜G-NOPAを用いて,カロテノイドの四光波混合信号測定を行った。本年は,青色領域の出力が大きくなる手法を見出したため,共役鎖長の短いカロテノイドの信号も観測することができ,目標としていた広帯域観測が可能となった.また,アイドラー光のパルス圧縮も試みたが,目標とするサブ20フェムト秒には現在まで至ることができなかった,同様の問題は,SHG-NOPAを開発している段階でも見られ,パルス圧縮器中のビーム形を最適化することで克服できると考えている.また,パルス圧縮率の更なる向上を目指し,空間位相変調器を導入し,パルス圧縮機のデザインを変更した.現在も引き続き,その最適化を行っている.開発した装置の特性を生かし,広帯域二次元分光に結び付けたいと考えている.
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